1992年、東京で開催された「日本の戦後補償に関する国際公聴会」での、中国人女性・万愛花さんの証言により、中国人「慰安婦」の存在が明らかになった。当時、留学生として日本で学んでいた班忠義監督はその証言に衝撃を受け、万愛花さんの元を訪ねる。以降、現在まで中国人被害女性の支援活動を続けている。被害女性たちの多くは強烈な身体的、精神的暴力により、体調や精神に異常をきたしていたが、一切の補償を受けられず、戦後半世紀を過ぎても癒えることのない苦しみのただ中にあった。





本作では中国人被害女性だけでなく、元日本兵とその手下だったという中国人男性たちも証言をしている。かつて元兵士たちは公の場で自ら、中国人女性を拉致、監禁し、性暴力に及んだと語り、その内容は被害女性の証言と一致していた。しかし、戦争世代が少なくなるにつれ、日本国内では歴史修正主義が台頭。「慰安婦問題」は韓国女性を対象とした強制性の有無が議論の中心となっていく———。





日本社会の変化を感じとった班監督は、支援活動と並行して20年間撮りためてきた証言の映画化を決意。企画に賛同した750人もの支援者と共に、上映と編集を重ね、5年の歳月をかけてついに<劇場版>が完成した。映画に登場する被害女性たちがすでに亡くなっている今、私たちは次世代に何を残し、何を伝えるのか? 彼女たちの眼差しが問いかけてくる。